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文献詳細

雑誌文献

medicina21巻13号

1984年12月発行

講座 Oncology・12

Oncological Emergencies(3)—急性感染症

著者: 北原光夫12

所属機関: 1東京都済生会中央病院・内科 2慶応義塾大学医学部・内科

ページ範囲:P.2751 - P.2754

文献概要

 近年の悪性腫瘍に対する強力な治療方法は,確実にその効果を現すようになっているが,その反面,感染症をその副作用としてひき起こす頻度が高くなっている.感染症の頻度が高くなってきた理由には,外科的治療,放射線治療によって正常な解剖学的防衛機能が損傷され,細菌が侵入しやすくなること,さらに,抗腫瘍剤による治療,放射線治療により炎症反応と免疫反応が障害されることがあげられる.
 最も感染をひき起こしやすくする重要な要因は好中球減少(neutropenia)である.neutropeniaは原疾患自体のみならず,治療によってもひき起こされる.ことに,急性白血病では感染症の頻度と好中球数とは逆相関関係にあると証明されている.Bodeyらは,急性白血病の患者におけるneutropeniaと感染症の関係を表した.好中球数が100/mm3以下である日数が1,000日あると,43回の感染症を経験することになる.好中球数が100〜500/mm3である日数が1,000日あると,感染症の頻度は19回へと減少している.好中球数が500〜1,000/mm3であると,さらに感染症が減少する.重症感染の原因となるneutropeniaは抗腫瘍剤による治療には合併しやすいので,常に留意して血液をチェックしておかなければならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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