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文献詳細

雑誌文献

medicina21巻13号

1984年12月発行

文献概要

臨床メモ

尿路感染症(3)

著者: 北原光夫12

所属機関: 1東京都済生会中央病院・内科 2慶応義塾大学医学部・内科

ページ範囲:P.2768 - P.2768

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 尿の培養を行った結果,しばしばStaphylococcusが検出されたと報告をうけることがある.Staphylococcus aureusが培養された場合,上向性と下向性感染の両方を考慮しなければならない.S. aureusの上向性感染症は頻度として非常に少ないものである.しかし,正しい方法にて採取された尿から,くり返して検出されるのであれば,S. aureusの上向性の感染と診断が可能である.むしろ,S. aureusが尿から検出される例では,下向性の感染症を考慮しておかなければならない.なぜなら,S. aureusは菌血症を起こす頻度が高く,腎に膿瘍を形成後,自潰し,尿にS. aureusが排泄される.菌血症があるので,全身状態は良好でなく,発熱・腰痛のような腎盂炎様症状を示す.しかし,中には症状が軽微なものもあり,単に上行性感染として片づけられるものも少なくない.
 S. epidermidisが尿から培養される症例では,注意を払う必要がある.S. epidermidisによる感染症の多くは異物の存在下に起こることが知られている.脳室シャント,心臓の人工弁置換,股関節の人工骨頭挿入などの感染にみられる.したがって,S. epidermidisが尿路カテーテルの存在下に感染を起こしてくる可能性もある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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