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文献詳細

雑誌文献

medicina21巻3号

1984年03月発行

文献概要

今月の主題 腎疾患—早期診断から管理まで 質疑応答

腎機能が次第に低下する時腎生検をすべきか

著者: 大野丞二1

所属機関: 1順天堂大学・腎臓内科

ページ範囲:P.468 - P.468

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 腎機能が次第に低下する状態に接した時には先ずその腎機能低下の原因が腎前性か,腎性か,腎後性かの鑑別診断を行うことが重要である.腎前性では脱水や心不全等の合併で腎血流量の低下を来たすごとき病態が先行したり,腸管出血や代謝亢進でBUN上昇を見ることも少なくないし,腎後性で前立腺肥大症等尿流の障害を来す病態が存在する場合には先ずそれらの病態の除去を計ることが必要で,もちろん腎生検の適応ではない.
 腎生検の適応となるのは進行する腎機能低下が腎性すなわち腎実質の疾患しかもびまん性腎実質疾患によってもたらされた場合である.最も腎生検の有用な疾患はネフローゼ症候群,慢性糸球体腎炎,膠原病性腎障害,原因不明のタンパク尿および血尿等であり,移植腎の病態評価の目的にも必須である.またアレルギー性間質性腎炎,急性糸球体腎炎,糖尿病性腎症,妊娠腎等の評価にも有用であるが,末期腎不全,嚢胞腎,水腎症,細菌性の急性および慢性腎盂腎炎,腎膿瘍,腎癌等は腎生検の適応とならないし,また重症高血圧や重症貧血の認められる場合も適応ではない.もちろん出血性素因を認める場合は禁忌である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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