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文献詳細

雑誌文献

medicina21巻4号

1984年04月発行

今月の主題 気管支喘息—病態から治療まで

発症機序

アトピー素因と遺伝

著者: 伊藤幸治1

所属機関: 1東京大学医学部・物療内科

ページ範囲:P.600 - P.602

文献概要

 □アトピー素因とは
 アレルギー疾患に遺伝的傾向があることは早くから気付かれていたと思うが,文献的にはCookが1916年に621例の喘息,鼻炎,蕁麻疹,食餌アレルギーを調べて遺伝的傾向があることを示した報告が最初である.次に1923年Cocaは,喘息,鼻炎,ある種の食餌アレルギーが合併して生じやすいこと,遺伝的傾向があること,大多数の人にはまったく無害な物質に対し症状を呈する特徴をあげ,アレルギー性の喘息,鼻炎にatopy(ギリシャ語のατοπiα,strangenessより)という名称を与えた.さらに1925年Cocaは,これら疾患にPrausnitz-Küstner反応によって検出される皮膚感作抗体が認められやすいことから,この抗体にatopic reaginという名称を与えた.
 Feinberg(1940)によると,“アトピーとは人に特有な過敏症の1つのタイプであり,遺伝的傾向を有し,特有の即時型の血管透過性亢進の反応を示し,レアギンを血液中にもっており,気管支喘息や花粉症のような特有な症状を示す”である(ただし,その後の知見では人のアトピーに似た症状は犬などにも存在することがわかっている).1940年Sulzbergerは,湿疹の一部に同様の傾向を認め,アトピー性皮膚炎と名付けた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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