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文献詳細

雑誌文献

medicina21巻4号

1984年04月発行

講座 小児診療のコツ・10

チック症,夜尿症

著者: 松川武平1 久徳重盛1

所属機関: 1久徳クリニック

ページ範囲:P.747 - P.752

文献概要

チック症
 Kanner1)は,チック症を「突然起こって不随意的に頻繁にくり返される一群の筋肉の無目的な早い運動」と定義している.その症状としては,まばたき,顔をしかめるなどの顔面チックをはじめ,首振り,肩を上下する,手腕および下肢を奇異に動かす,声を出す(vocal tic)などの全身性チックにまで至る.ときには咳嗽様の症状を呈することもある.これらの不随意運動の発生機序は,錐体外路系の何らかの障害が基盤にあり,それに心理的要因が重なり合って発現するものと考えられている2).錐体外路系の障害に関してはいまだ不明であるが,中枢神経刺激伝達物質の関与が注目されている3,4).しかし,その発症には心理的要因の関与が大きく,緊張したり興奮したりすると症状が増強するし,暇で退屈なときにも増強されることより,心理的な問題が引き金になっていることは間違いないようである.これらの子どもたちは,行動面では落ち着きがなく,神経症的傾向,感情的未熟さ,また社会性の乏しい性格の子が多く,養育歴上の問題が大きいようである.とくに親子間での緊張や葛藤が見られる場合が多く,兄弟や親に対し強い憎しみを感じていたり,親子間での接触が少ないために愛情飢餓状態にある者が多い.
 また,親が症状を注意したり,不安になっていたりすると二次性のストレスが加わり,症状が増強することもある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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