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講座 図解病態のしくみ びまん性肺疾患・5
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せき,たん,喘鳴あるいは息切れなどの臨床症状に伴い,呼出障害,呼気延長をみとめる症例は多く経験される.この呼出障害は生理検査において気道抵抗(Raw)の増加,スパイログラムでの1秒量(FEV H1.0),1秒率(FEV1.0%)の減少としてとらえられる.その原因は図1に示すごとく,①気道そのものに病変があり内腔の狭小化をきたす場合,②気道は正常であるが,肺実質が障害され肺胞壁の破壊とその内腔の著しい拡張を呈する場合がある.疾患としては前者には慢性気管支炎,気管支喘息(さらに近年わが国で注目されているびまん性汎細気管支炎も含まれよう),後者には肺気腫があるが,しかしこれら疾患が純粋な形で気道のみ,肺実質のみに病変をおこすことは少ない.多数の症例でむしろこれら病変が合併しており,したがってしばしぼ臨床症状が類似し,相互の鑑別が困難なことが経験される.前回までの解説ではびまん性肺疾患の肺機能,X線所見について述べてきたが,今回は"慢性閉塞性肺疾患"をとりあげ,その鑑別点などについて述べてみたい.
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