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文献詳細

雑誌文献

medicina21巻6号

1984年06月発行

文献概要

今月の主題 糖尿病診療の実際 トピックス

ヒト・インスリン製剤

著者: 中川昌一1

所属機関: 1北海道大学医学部・第2内科

ページ範囲:P.1046 - P.1047

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 インスリンは高等動物の間では,ほとんど作用に変りはないが,動物毎にアミノ酸の配列が若干異なっているので,抗原性があり,別の種属のインスリンで治療すると抗体を生じる.小人症に対する成長ホルモンの供給難を考えると,動物のインスリンが糖尿病患者の治療用として,ヒト・インスリンと同様に有効であることは大変幸いなことであったことが首肯されよう.しかし,一方では抗原性のある蛋白製剤を長期間に亘り注射を続けることは,明確な臨床上の副作用として現れることは稀であるとしても,理論的に好ましいことではない,この点にヒト・インスリン開発の動機があり,また最近の技術的発達はこれを可能にしたと言えよう.
 ヒト・インスリンを得る方法としては,屍体膵より抽出するか,化学的に合成する方法がとられていたが,いずれも,材料や費用の点で治療用としては用いられなかった.最近ブタ・インスリンより,B30位のアミノ酸を化学的に置換する方法(転換ヒト・インスリンSemisynthetic Human Insulin,SHI)や遺伝子工学による方法(Biosynthetic Human Insulin,BHI,Human Insulin(rDNA))で治療用の製剤が製造されるようになった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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