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わが国における昭和57(1982)年の結核による死亡者数は5,343(人口10万対4.5,死因順位の15位)であり,10年前(昭47,1972)の人口10万対11.9に比較すれば,1/2以下になっている.また,結核新登録患者数でみると,罹患率人口10万対137.8が53.9,活動性結核登録患者数では,有病率537.5が160.8と,それぞれ1/2,1/3以下に減少している1).これだけの激減をみれば,医療関係者の多くが結核に関心を失っていくのは当然であろう.結果として,10年前には肺癌が肺結核と誤診されていることが少なくなかったが,現在では,肺結核が肺癌と診断されることが多くなり,少なからざる症例が,手術によってはじめて肺結核の診断が与えられる状況となってきている.大畑の全国調査成績2)では,肺外科療法の行われた306例のうち,肺癌を疑って手術後肺結核と診断されたものが97例(32%)と報告されている.一方,肺結核と診断されたが術後肺癌と確定されたのは5例(2%)である.
結核症は減少したとはいえ,呼吸器疾患のなかで,今なお重要な疾患であることに変わりはない.
結核症は減少したとはいえ,呼吸器疾患のなかで,今なお重要な疾患であることに変わりはない.
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