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文献詳細

雑誌文献

medicina21巻7号

1984年07月発行

文献概要

今月の主題 循環器薬の使い方 心不全

利尿剤の使い方

著者: 半田俊之介1 谷正人1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部・内科呼吸循環科

ページ範囲:P.1175 - P.1177

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 心不全は複雑な症候群である.利尿剤による治療を論ずるためには,まず心不全の概念を規定する必要がある.ここではごく常識的に,ポンプとしての心臓が収縮力の低下をきたし,末梢諸臓器で酸素その他の需給関係に破綻を生じた状態として稿を進めたい.
 このような心不全に伴う血行力学的変化は,当然のこととして心拍出量の減少であり,疲れやすい,だるいなどの症状の他,極端な場合には急性に心原性ショックをきたす.これに伴う心室拡張期圧の上昇は,左心で肺うっ血による息切れ,労作時呼吸困難,起坐呼吸などを,右心で肝腫脹など臓器のうっ血を生じる.心不全状態が続くと,交感神経系の緊張亢進,renin-angiotensin系の賦活による腎血管の攣縮と腎血流量の減少,aldo-sterone分泌の異常増加などが,単位nephronあたりの糸球体濾過率(GFR)を下げ,尿細管におけるNa"および水の再吸収を増す(図1)1,2).尿量は減少し,血漿量は増す.毛細血管内圧の上昇は諸臓器の浮腫と機能障害を起こし,悪循環が生じる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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