icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina21巻7号

1984年07月発行

文献概要

今月の主題 循環器薬の使い方 慢性期虚血性心疾患

抗高脂血症剤の使い方

著者: 大内尉義1 板倉弘重1 矢崎義雄1 高久史麿1

所属機関: 1東京大学医学部・第3内科

ページ範囲:P.1209 - P.1212

文献購入ページに移動
高脂血症と冠動脈硬化との関連
 高脂血症は,虚血性心疾患(IHD)の主たる原因である冠動脈アテローム硬化の第1のrisk factorである.図に,冠動脈造影により冠動脈硬化の有無を確認した症例で,各リポ蛋白分画中の脂質を測定した当教室での成績1)を示す.冠動脈硬化を有する症例で,低比重リポ蛋白分画中のコレステロール(LDL-C)の増加,高比重リポ蛋白分画中のコレステロール(HDL-C),とくにその亜分画でHDL2-Cの低下が認められ,LDL-Cの増加とHDL2-Cの低下が冠動脈硬化と深い関連を有することがわかる.現在の高脂血症の治療は,LDL-Cを低下させ,HDL-C,とくにHDL2-Cを上昇させることが目標とされている.
 トリグリセリド(TG)には各リポ蛋白分画とも有意差は認められなかった.TGの増加が独立した冠動脈硬化のrisk factorであるか否かについて一定の結論は得られていないが,現在では否定的な見解が多い.しかし,一方でrisk factorとする意見も根強く,TGの低下をはかることも高脂血症治療の目標の1つとされる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?