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文献詳細

雑誌文献

medicina21巻8号

1984年08月発行

今月の主題 下痢と腸疾患

腸疾患と下痢

celiac disease

著者: 石森章1 長崎明男2

所属機関: 1東北大学医学部・臨床検査診断学 2東北大学医学部第3内科

ページ範囲:P.1400 - P.1402

文献概要

celiac diseaseの概念
 celiac diseaseの本体はgluten不耐症で,小腸絨毛の萎縮と小腸吸収上皮細胞の酵素活性低下が起こり,臨床上食物の吸収不良が主要症状となっている.同義語としてnon-tropical sprue,idiopathic steatorrhea,sprue,celiac sprue,gluten-induced enteropathyなど種々の名称が用いられている.本症はもともとヨーロッパ北西部出身者に多く,黒人,ユダヤ人,地中海沿岸出身者には稀である.わが国ではきわめて稀と考えられており,その存在が疑問視されていたが,最近,平塚ら1)が4例の紹介をしている.その後の厚生省の調査でも確実現されているのは2例にすぎない2).男性に比べて女性に多く,87%が女性であったという報告もある.血液型では0型に多く,A型は稀であり,HLAタイプでは,B8,Dw3,DRw3が健常者の4倍みられたとの報告もある.このため,本症の成因については免疫反応異常説が唱えられており,通常生後1年以内に発症するが,glutenに対する異常抗体ないし腸上皮細胞に対するgluten結合異常などが指摘されている3)).
 生理的に空腸は栄養素の最も能動的な吸収部位であるが,本症でこの部の絨毛萎縮が高度にみられることは必然的に低栄養状態へのステップとなることを意味している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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