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文献詳細

雑誌文献

medicina21巻8号

1984年08月発行

文献概要

今月の主題 下痢と腸疾患 腸疾患と下痢

牛乳不耐症

著者: 正宗研1 松本恒司2

所属機関: 1秋田大学医学部・第1内科 2大阪医科大学・第2内科

ページ範囲:P.1404 - P.1405

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概念と病態
 牛乳不耐症milk intoleranceは本来健康者で,ただ牛乳や乳製品を摂取したときに下痢,腹痛や腹部膨満感が起こる病態に対してつけられたものである.その際の下痢は水様性で外見上泡立っていることが多い.一方,これに関連した言葉として,乳糖不耐症lactose intoleranceとラクターゼ欠乏症lactase deficiencyの2つがある.前者はその原因が乳糖分解酵素ラクターゼ欠乏によることを言外に含みながら,牛乳や乳製品の主成分である乳糖摂取によって起こる種々の臨床症状を主に表現した名称である.一方,後者はラクターゼの欠乏の面を強調した言葉で,ラクターゼ活性値の低下が定義の根拠として重要な意味をもっている.実際には,牛乳不耐症や乳糖不耐症の原因としてラクターゼのもつ意味は重要であるが,この3つは少しずつ意味あいを異にしている.
 ラクターゼ活性は人種や地域,とくに前者によって著しく異なる.一般に白色人種はその活性が高く,逆に東洋人種,黒人などは低い.したがって,欧米で常用する牛乳量(およそ1l/日)をわれわれ日本人が摂取すれば,当然のことながら大部分の者は下痢,腹痛などの症状が出現する.しかし,元来牛乳の摂取量は人種により著しく異なるため,日本人に関して"牛乳不耐症"といわれるものは1日1〜2本の牛乳飲用後起こる下痢,腹痛,腹部膨満感のため牛乳を飲むことができないものと定義してさしつかえない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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