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文献詳細

雑誌文献

medicina22巻10号

1985年10月発行

文献概要

今月の主題 腎疾患—最近の展開とトピックス 全身性疾患と腎:発生病理と臨床

ウイルス性肝炎

著者: 小出輝1

所属機関: 1順天堂大学医学部・腎臓内科

ページ範囲:P.1754 - P.1756

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 B型肝炎ウイルス(HBV)の関連抗原の持続陽性の慢性肝疾患患者あるいは無症候性キャリアに糸球体疾患を発症することがあり,HBV腎症と呼ばれている.
 HBV感染に伴う腎症が初めて報告されたのは1971年Combesらによってである.53歳の男で血清肝炎に罹患後HBs抗原陽性が持続し,ネフローゼ症候群を呈した.腎組織所見は膜性腎症で,蛍光抗体法でIgG,C3とともに,HBs抗原の沈着を係蹄壁に認めたことから,HBs抗原が原因と考えられた.Slusarczykらは血清HBs抗原陽性の膜性腎症患者の約1/3にHBc抗原の糸球体沈着を報告し,HBc抗原が原因としている.1979年武越らは11例の小児HBV腎症について検討し,組織像はすべて膜性腎症で,血清HBs抗原は陽性であるにもかかわらず,腎にHBs抗原を検出できず,HBe抗原を証明し,原因としてのHBe抗原の重要性を強調した.次いで雨宮らはHBs抗原陽性者に伴う膜性増殖性腎炎Burkholder type IIIについて,腎糸球体にHBe抗原とともにHBs抗原の沈着を報告した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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