文献詳細
文献概要
今月の主題 腎疾患—最近の展開とトピックス 診断のすすめ方
乏尿,無尿
著者: 菱田明1
所属機関: 1浜松医科大学・第1内科
ページ範囲:P.1780 - P.1781
文献購入ページに移動乏尿とは
成人の場合,尿量は通常800〜1,500ml/日である.1日尿量が400ml以下の場合,乏尿という.腎は尿量の調節を通じて体内水分量,体液浸透圧を一定に保とうとする.水分喪失量に比して相対的に水分摂取量が少ないか,腎での水排泄に障害があるとき尿量は減少する.1日尿量400ml以下を乏尿として特別扱いをするのは次の事情による.体内環境を維持する上で1日に尿中に排泄すべき溶質は成人で400〜600mOsmであるのに対し,尿最大濃縮能は1,200mOsm/kg・H2Oである.したがって,体内環境を正常に維持するには1日300〜500mlの水の排泄が必要となる.すなわち尿量が400ml以下の場合には,腎機能正常者であっても体内環境が正常に維持できないことを意味する.腎での水排泄障害による乏尿の場合に体内環境を正常に維持できないのは言うまでもない.
近年,頻回の血液検査が行われるようになり,血清クレアチニン(Pcr),血液尿素窒素(BUN)の上昇が急性腎不全発見のきっかけとなる場合も少なくない.その結果,いわゆる非乏尿性急性腎不全が急性腎不全の半数近くを占めることが明らかにされてきた.
成人の場合,尿量は通常800〜1,500ml/日である.1日尿量が400ml以下の場合,乏尿という.腎は尿量の調節を通じて体内水分量,体液浸透圧を一定に保とうとする.水分喪失量に比して相対的に水分摂取量が少ないか,腎での水排泄に障害があるとき尿量は減少する.1日尿量400ml以下を乏尿として特別扱いをするのは次の事情による.体内環境を維持する上で1日に尿中に排泄すべき溶質は成人で400〜600mOsmであるのに対し,尿最大濃縮能は1,200mOsm/kg・H2Oである.したがって,体内環境を正常に維持するには1日300〜500mlの水の排泄が必要となる.すなわち尿量が400ml以下の場合には,腎機能正常者であっても体内環境が正常に維持できないことを意味する.腎での水排泄障害による乏尿の場合に体内環境を正常に維持できないのは言うまでもない.
近年,頻回の血液検査が行われるようになり,血清クレアチニン(Pcr),血液尿素窒素(BUN)の上昇が急性腎不全発見のきっかけとなる場合も少なくない.その結果,いわゆる非乏尿性急性腎不全が急性腎不全の半数近くを占めることが明らかにされてきた.
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