文献詳細
今月の主題 生体防御と感染症
貪食細胞の機能
文献概要
Metchnikoffが生体防御機構としての食作用に着目して以来,免疫系での貪食細胞の機能について研究が進められてきた.多核白血球(polymorphonuclear leukocyte)やマクロファージ(macrophage)は種々の感染症に対する生体防御という重要な働きを担っている.これらの細胞の主要機能は,病原菌など生体内に侵入した異物を,一連の複雑な過程により殺菌・消化処理することにある.この過程は表に示すように,大きくわけて7つの段階から成る.まず生体内に細菌などの異物が侵入すると,侵入部位へ貪食細胞が動員されるが(migration),この貪食細胞の運動方向は,走化性因子(chemotactic factor)の濃度勾配によって決定される(走化性,chemotaxis).貪食細胞が異物に到達すると,主としてオプソニンを介した異物粒子の認識が行われ(recognition),細胞表面に異物粒子が固定された後,細胞内に取り込まれ(ingestion),貪食空胞(phagosome)が形成される.ここでは解糖系の代謝変化が起こり,食作用に必要なエネルギーが供給される.貪食空胞はリソゾーム(lysosome)と融合してファゴリソゾーム(phagolysosome)となり,リソゾームの内容物は空胞内に放出される(脱顆粒).
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