icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina22巻11号

1985年11月発行

今月の主題 生体防御と感染症

貪食細胞の機能

貪食能

著者: 大田雅嗣1 斎藤政樹1

所属機関: 1自治医科大学血液学研究施設・造血発生

ページ範囲:P.1934 - P.1935

文献概要

 Metchnikoffが生体防御機構としての食作用に着目して以来,免疫系での貪食細胞の機能について研究が進められてきた.多核白血球(polymorphonuclear leukocyte)やマクロファージ(macrophage)は種々の感染症に対する生体防御という重要な働きを担っている.これらの細胞の主要機能は,病原菌など生体内に侵入した異物を,一連の複雑な過程により殺菌・消化処理することにある.この過程は表に示すように,大きくわけて7つの段階から成る.まず生体内に細菌などの異物が侵入すると,侵入部位へ貪食細胞が動員されるが(migration),この貪食細胞の運動方向は,走化性因子(chemotactic factor)の濃度勾配によって決定される(走化性,chemotaxis).貪食細胞が異物に到達すると,主としてオプソニンを介した異物粒子の認識が行われ(recognition),細胞表面に異物粒子が固定された後,細胞内に取り込まれ(ingestion),貪食空胞(phagosome)が形成される.ここでは解糖系の代謝変化が起こり,食作用に必要なエネルギーが供給される.貪食空胞はリソゾーム(lysosome)と融合してファゴリソゾーム(phagolysosome)となり,リソゾームの内容物は空胞内に放出される(脱顆粒).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら