icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina22巻12号

1985年12月発行

文献概要

臨時増刊特集 エコー法の現況 Ⅱ 診断と治療への応用 A 心エコー法

27.心・血管腔内の流動エコー

著者: 別府慎太郎1

所属機関: 1国立循環器病センター研究所・循環動態部

ページ範囲:P.2254 - P.2258

文献購入ページに移動
流動エコーとは
 心エコー図では,心臓内構造物が陽画の形で描出され,心腔内はエコー・フリーである.これは,心エコー図では物体の音響インピーダンスの境界面で音波が反射するという性質を利用しているからである.ところが,なんらエコーが認められないはずの心腔内に,あたかも血液の流れに沿って移動する多数の微粒子エコーを認めることがある(図1).これが流動エコーである1)
 このエコーは多くの場合,心臓内構造物のエコー強度より弱く,それゆえ装置のgainを上げなければ見逃されることが多い.また使用周波数が高いほど流動エコーが検出されやすい.流動エコーは後述のごとく血流速度の遅い部位に認められることが多いので,エコー性状としては,全体としてモヤモヤした,煙が漂うような,また湖底に沈澱した泥が舞い上がるようなエコー像を呈する.それゆえ流動エコーはモヤモヤ・エコー,smoke-like echo, drifting dregs-like echoなどとも呼ばれている.流動エコーは僧帽弁狭窄症の左房内に認められることが最も多く,リアルタイム断層心エコー図では拡大した左房内をゆっくりと舞い上がるエコーとして,Mモード心エコー図では左房内の多数の線状エコーとして見られる(図1).一部は僧帽弁口に近づき流動エコーの密度が著明であれば,拡張期に狭い僧帽弁口から左室内に霧吹き様に吹き出されるのも見られる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら