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臨時増刊特集 エコー法の現況 Ⅲ トピックス
80.音響物理量の計測—散乱
著者: 上田光宏1
所属機関: 1東京工業大学・精密工学研究所
ページ範囲:P.2518 - P.2521
文献購入ページに移動 超音波診断技術において現在組織性状の識別に有効であると世界的に広く受け入れられている唯一の特徴量は,超音波断層法のグレースケールBモード表示上で組織がどのようなエコーパターンを示すかである.このエコーパターンの生成には散乱が主要な役割を果たしており,この意味からも超音波散乱現象の理解を深めることは,現在人間のパターン認識能力に依存して行っている診断に客観的指標を与えていくことにつながり,その重要性は容易に理解されよう.しかし散乱は音速や減衰のように一つのパラメータで完全に記述できるものでなく,また従来物理学などで取り扱われていた散乱に関する解析では平面波,あるいは球面波が入射するという理想的な場合を対照としていたので,強く収束されたビームを用いる超音波パルスエコー法での散乱現象の解析にはそのまま適用できず,一番重要な現象でありながら,いままで定量的評価という面からのアプローチが一番遅れていたといえる.そこで本稿では,超音波パルスエコー法における散乱現象に関してできるだけわかりやすく説明してみよう.
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