今月の主題 筋疾患とその周辺
筋疾患各論
癌性ミオパチー
著者:
大生定義1
本多虔夫2
所属機関:
1聖路加国際病院・内科
2横浜市立市民病院・神経科
ページ範囲:P.264 - P.265
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悪性腫瘍の診断や治療の進歩は担癌患者の生存期間の延長をもたらしたが,同時に随伴して起こる数々の神経筋疾患の頻度も増大させた.転移,感染,内分泌・代謝異常,血管障害,治療による合併症などにより起こるもののほかに,原因が不明な"paraneoplastic syndrome"とも呼ぶべきものも存在する.Kula1)はそれを表1のように分類しているが,中には不適切と思われる項目もある.筋肉に関しても癌転移がある程度の頻度で認められ3)報告もあるが4,5),Henson2)のあげるような,転移によらない筋疾患のほうが臨床的により重要である(表2).これら筋疾患の多くの部分については,本特集の他の項で病態,治療など詳述されるので,本稿では皮膚筋炎・多発性筋炎(以下DM・PM)の悪性腫瘍との関係と,いわゆるcarcinomatous myopathy(neuromyopathy)について,主な点を述べることとする.