文献詳細
文献概要
今月の主題 筋疾患とその周辺 神経筋接合部の疾患
Eaton-Lambert症候群
著者: 高守正治1
所属機関: 1金沢大学医学部・神経内科
ページ範囲:P.274 - P.275
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重症筋無力症が筋肉側受容体疾患として理解されているのとは対照的に,神経終末側(前シナプス〉に病因の場が求められている本症候群は1)小細胞性気管支癌との合併が多いが1),他種の悪性腫瘍,甲状腺疾患など自己免疫疾患との合併もありうる2).直接の原因は,主に電気生理学的解析から,神経刺激で遊離されるアセチルコリン(ACh)量子数の減少(個々量子中のACh分子数は正常)にあるとされ3),Ca++やサイクリックAMPの修飾を受ける4,5).近年,血漿交換療法,免疫抑制剤の本病に対する有効性6),本病患者血中IgGによる動物への疾患のtransfer成立で示唆される神経終末機能に対する液性因子の修飾7)などから,本病の発症機構も免疫学的機序の面から明らかにされつつある.本病生検筋の神経筋接合部電顕像の特徴は,神経終末の変性,萎縮に加え,シナプス襞の異常増殖にある8)(図1)が,近年freeze-fructure法による分析によれば,本病神経終末部の"active zone"(シナプス小胞のexocytosisの場であり9),voltage-sensitive Ca++チャンネルに関係する10))が減少しているという11).transfer実験で成立した動物モデルの神経終末の観察でも同様の所見が得られており12),"active zone"を標的とする液性因子の病原的役割が示唆される.
重症筋無力症が筋肉側受容体疾患として理解されているのとは対照的に,神経終末側(前シナプス〉に病因の場が求められている本症候群は1)小細胞性気管支癌との合併が多いが1),他種の悪性腫瘍,甲状腺疾患など自己免疫疾患との合併もありうる2).直接の原因は,主に電気生理学的解析から,神経刺激で遊離されるアセチルコリン(ACh)量子数の減少(個々量子中のACh分子数は正常)にあるとされ3),Ca++やサイクリックAMPの修飾を受ける4,5).近年,血漿交換療法,免疫抑制剤の本病に対する有効性6),本病患者血中IgGによる動物への疾患のtransfer成立で示唆される神経終末機能に対する液性因子の修飾7)などから,本病の発症機構も免疫学的機序の面から明らかにされつつある.本病生検筋の神経筋接合部電顕像の特徴は,神経終末の変性,萎縮に加え,シナプス襞の異常増殖にある8)(図1)が,近年freeze-fructure法による分析によれば,本病神経終末部の"active zone"(シナプス小胞のexocytosisの場であり9),voltage-sensitive Ca++チャンネルに関係する10))が減少しているという11).transfer実験で成立した動物モデルの神経終末の観察でも同様の所見が得られており12),"active zone"を標的とする液性因子の病原的役割が示唆される.
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