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文献詳細

雑誌文献

medicina22巻4号

1985年04月発行

文献概要

新薬情報

沈降B型肝炎ワクチン—商品名:HBワクチン‐ミドリ〔ミドリ十字〕

著者: 水島裕1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学・第1内科

ページ範囲:P.756 - P.757

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概略
 古くは輸血後肝炎として知られていたウイルス性肝炎は,Blumbergによるオーストラリア抗原の発見により,その本態解明への手がかりが得られ,今日ではかなりのものがB型肝炎として知られるようになった.その感染経路も輸血のみならず,経口,接触感染することも明らかにされ,感染経路が多岐にわたること,的確な治療法がないことから社会問題としても取り上げられている.
 HBワクチンは,欧米においてはすでに実用化されている.わが国では,厚生省のB型肝炎ワクチン研究班を中心に開発研究が進められ,60℃,10時間の熱処理とホルマリン処理されたHBワクチンについて,チンパンジーを用いての有効性と安全性が証明され,続いて臨床治験においても有効かつ安全であることが確認され,このたび承認された.ただ,今回の適用は成人と小児のみのB型肝炎予防で,新生児の母児間感染の予防は含まれていない.出産直後からHBワクチンを接種し,母児間感染を断ち切って,B型肝炎の撲滅を図ろうという計画が立てられているが,これを実施するためには,それなりの承認を得る手続が必要である.しかし,順調にいけば,本年秋には新生児接種を含めた予防接種が始まる可能性がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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