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文献詳細

雑誌文献

medicina22巻6号

1985年06月発行

文献概要

今月の主題 ウイルス肝炎—現況と展望 肝炎ウイルスはここまで解明された

非A非B型肝炎ウイルス

著者: 志方俊夫12

所属機関: 1日本大学医学部・第1病理学教室 2長崎大学熱帯医学研究所・防疫部門

ページ範囲:P.982 - P.983

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 非A非B型肝炎ウイルスはまだ発見されていない.非A非B型肝炎の研究は1970年代の終わりまでに,チンパンジーの感染実験のデーターがほぼ出そろった後2〜3年ほとんど進歩がなかった.ところが1984年の半ばをすぎて,幾つかの若干の新しいデーターの報告が出てきた.1985年には再び新たな,しかも急速な進歩が期待できそうである.非A非B型肝炎の存在が推定されたのは,1975年ごろA型肝炎ウイルスがみつかるかみつからないかという時期であった.HBs抗原の検出系が確立されると,供血者をHBs抗原でスクリーニングすることによって,キャリヤーの血液を輸血に使用しないようになった.そしてだれもがこれで輸血後肝炎がゼロになると考えたのである.ところが意外にも輸血後肝炎は20%から10%に減少したものの,それ以下には下がらなかったのである.しかも現在このようにして起こっている輸血後肝炎では,HBs抗原とかHBc抗体とかは証明されず,B型肝炎とは考えられないのである.そこでB型肝炎以外にも血液を介して伝搬する肝炎ウイルスの存在が推定されるに至ったのである.
 そしてその後,この肝炎に関連した抗原抗体系,あるいはウイルスそのものをみつけようという多くの試みがなされた.多くの抗原抗体系が世界の多くの研究室から報告された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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