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文献詳細

雑誌文献

medicina22巻6号

1985年06月発行

文献概要

今月の主題 ウイルス肝炎—現況と展望 効果的予防法

B型肝炎ウイルス母児間感染遮断

著者: 矢野右人1

所属機関: 1国立長崎中央病院・臨床研究

ページ範囲:P.1032 - P.1034

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 HBV持続感染がB型慢性肝炎,肝硬変の原因となり,ひいては肝癌と密接な関連を有することが明らかになりその対策が急がれている.わが国では250万人,全世界では2億人以上のHBVキャリアーが存在すると推定され,日本のみでなくWHO(世界保健機構)が中心となり世界中のキャリアー予防対策が推進されようとしている.
 わが国ではHBワクチンの製造が認可され本年秋,遅くとも年内には市販され,HBワクチンによる予防体制が国家事業として開始されることが決まっている.HBウイルス感染は急性肝炎として感染する一過性感染と,HBVキャリアーへと移行する持続感染に区別される.前者は通常大人にみられる肝炎であり,後者の感染はe抗原陽性の母親より出産するときに感染が成立する母児間感染であり,この感染により慢性肝炎,肝硬変ひいてはHB抗原陽性の肝癌へと運命づけられる例も多い.今回厚生行政により,国家事業として取り上げられたのはこのHBV母児間感染予防対策である.ここでは母児間感染の実態,予防法,予防成績とともに今後の具体的方法論につき述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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