icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina22巻7号

1985年07月発行

文献概要

感染症メモ

Aztreonam—最初のmonobactam剤

著者: 高橋幸則1

所属機関: 1東京都済生会中央病院・内科

ページ範囲:P.1322 - P.1323

文献購入ページに移動
 ペニシリン(最初のβ-lactam剤)の発見以来,われわれは感染症治療において多大な恩恵を得ているが,近年においてもβ-lactam剤の発展は著しい.このような状況のもとでmonobactam(monocyclicβ-lactam)の発見は,これまでのβ-lactamに対するわれわれの考えと根本的に異なるものである.すなわち,第1にaztreonam(最初のmonobactam剤)は以前のβ-lactam剤の主要な守備範囲であったグラム陽性球菌および嫌気性菌には無効で,グラム陰性桿菌にのみ有効であり,第2にはほとんどのβ-lactamaseによる阻害に対して安定である.
 aztreonamの作用機序はすべてのβ-lactam同様に細菌の細胞壁の合成を阻害することによる.そしてその構造は図のとおりで,各側鎖と作用上の特性を同時に示した.aztreonamは56%が血中の蛋白と結合し,約2/3が代謝をうけず尿中に排泄される.血中半減期は1.7時間である.抗菌力については前述したようにStreptococciやStaphylococciといったグラム陽性菌,また嫌気性菌にはまったく無効である.aztreonamの特徴的な抗菌スペクトラムは,院内感染の重要な原因菌であるグラム陰性桿菌である.表にlatamoxefおよびgentamicinとの比較を示した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?