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文献詳細

雑誌文献

medicina22巻8号

1985年08月発行

文献概要

今月の主題 高血圧症—今日の治療 疫学

高血圧の予後と治療による改善

著者: 柴田博1

所属機関: 1東京都老人総合研究所・プロジェクト研究部

ページ範囲:P.1346 - P.1347

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高血圧の予後規定因子
 高血圧の予後は,血圧のレベルに規定されることはいうまでもない.脳卒中,心臓病,腎障害などはほぼ直線的に,血圧の値に比例して起きやすくなる.これらの疾患の基礎となる全身の動脈硬化の程度も血圧のレベルに応じて強くなる.さらに,年齢も予後を左右する因子の1つである.たとえば,比較的若い年代においては脳出血が,加齢とともに脳梗塞が起きやすくなる.糖代謝,高脂血症,低脂血症などの合併症の存在も高血圧の予後を悪くすることが知られている.以上の諸因子は,1つの地域や職域の中で,高血圧症の個々人の予後の差をもたらす要因として念頭におかなければならない.
 疫学的にみると,高血圧の予後に最も大きな影響を与えるのは栄養状態や生活様式である.欧米では,高血圧症が心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患に至ることが多く,わが国では脳卒中になりやすいという予後の差は,かつてはわが国の血圧レベルが欧米のそれより高いためであろうと想像されていた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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