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文献詳細

雑誌文献

medicina22巻8号

1985年08月発行

文献概要

今月の主題 高血圧症—今日の治療 治療

段階的薬物治療の実際と問題点

著者: 金子好宏1

所属機関: 1横浜市立大学医学部・第2内科

ページ範囲:P.1366 - P.1369

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従来の段階的治療法の問題点
 高血圧患者の薬物治療については,アメリカの高血圧合同委員会とWHOの高血圧専門委員会から"step-ped care program"(段階的治療法)という方法が勧告され,この方法は,これまで一般医家に対する降圧薬の使い方の指針として役立ってきた.しかし従来の段階的治療法については,その後きびしい批判が起こり,新しく作りかえる必要があるという意見が強くなっている.ただし,それをどのように改めたらよいかについては,まだ合意が得られてはいない現状である.これまでアメリカ,ヨーロッパ,オーストラリアなどで,段階的治療法に似た治療法の効果が,多数の患者を対象とした数年間にわたる大規模な,いくつかの二重盲検試験で検討されてきたが,その結果,従来の段階的治療法では,脳血管障害は減るが心筋梗塞はなかなか有意には減らない,ということがわかってきた1〜5).欧米では心筋梗塞が最大の死因になっており,治療によって心筋梗塞の発症がどういう影響を受けるかということに関心が強い.大きなrisk factorである高血圧を抑えれば心筋梗塞は減るはずであるのに,そういう結果が得られないのは,段階的治療法のやりかたに欠陥があるためではないかということになった.そして,従来の段階治療法で第1選択薬に使われてきたサイアザイド系利尿薬が犯人として疑われるようになった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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