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文献詳細

雑誌文献

medicina22巻8号

1985年08月発行

文献概要

今月の主題 高血圧症—今日の治療 合併症を有する高血圧患者の治療

心臓病を有する高血圧患者の治療

著者: 柳沼淑夫1

所属機関: 1自治医科大学・循環器内科

ページ範囲:P.1396 - P.1397

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後負荷としての収縮期圧と拡張期冠灌流圧
 血圧は左心室の血液駆出様式と動脈抵抗系の特性との相互作用によって決定される.すなわち,大動脈弁開放後,血液を大動脈内に駆出するにつれて次第に内圧(血圧)は上昇し,それが左心室の負荷となる.このような状態をincreasing after-load(次第に増加する後負荷)と呼ぶ,左心室にとってはこのような負荷に対する収縮をauxotoniccontractionと呼ぶ.高血圧患者においては,この次第に増加する後負荷が駆出後期にまで及び,左心室に対する負荷は著しく増加する.この現象は,実は動脈圧反射波が末梢動脈より逆行性に早期に帰って来て,順方向血圧の上に重なる現象である1).一方,左心室にとっては収縮終期に近いところにかなり高い血圧がもたらされるので,壁張力としては高値を維持しなくてはならず,(心内性)後負荷は増加することになる.
 左心室の駆出様式が短くて終了するものの代表的なものは肥大型心筋症であろう.それに近いものに僧帽弁閉鎖不全がある.このような心疾患に対しては収縮後期の血圧上昇は少なく,二峰性の山をみる.一方,収縮後期まで駆出する心疾患には拡張型心筋症や大動脈弁閉鎖不全があるが,収縮期血圧をもその収縮に準じて収縮後期まで高値をみることになる.後者のような収縮様式の患者に高血圧が合併すると負担は倍増する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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