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文献詳細

雑誌文献

medicina22巻8号

1985年08月発行

文献概要

感染症メモ

広範囲経口抗菌剤Norfloxacin(Baccidal®

著者: 袴田啓子1

所属機関: 1東京都済生会中央病院・内科

ページ範囲:P.1512 - P.1513

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 Norfloxacin(NFLX)はキノリンカルボン酸の誘導体で,in vitro activityが優れている(90%MIC≦0.5μg/ml).構造式は図に示すとおりで,キノリンカルボン酸の6位にフッ素,7位にピペラジンが位置し,細菌のDNA複製を阻害することにより,殺菌的に作用する.従来のピリドンカルボン酸系薬剤に比べ,グラム陽性菌まで抗菌スペクトラムが拡大され,他剤耐性菌に対しても抗菌力を示す.ただし嫌気性菌に対しては有効でない.これら以外の特色としては,natural mutationrateが低いこと,ナリジクス酸との交叉耐性が認められないことなどがあげられる.
 消化管からの吸収は優れており,NFLX 400mgを1回経口投与した後の平均血中濃度は1.58μg/mlであり,平均血中半減期は3.5〜4時間である.健康人では尿中濃度は血中濃度の約100倍といわれ,24時間以内に1回経口投与量の30%が尿中より回収される.また,本剤の70%以上がほとんど未変化体のまま尿中に排泄される.腎不全時には投与量,投与間隔の調整が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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