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今月の主題 不整脈診療の実際 各種領域における不整脈診療の特殊性
心筋症と不整脈診療
著者: 櫻井恒太郎1
所属機関: 1京都大学医学部付属病院・医療情報部
ページ範囲:P.80 - P.81
文献購入ページに移動心筋症の頻度(患者数)は,この疾患に対する関心の増大や,診断方法の進歩によってこの10年間に増大しているが,死因統計を例にとってみると虚血性心疾患の1/50程度(1983年人口動態統計)であり,けっして多い疾患ではない.心筋症はその臨床的病型により,肥大型(閉塞性および非閉塞性)と拡張型に分類され,その両者にはそれぞれ特徴がある(表).心筋症が注目を集める理由の1つは,患者の多くが青壮年期にいわゆる突然死で死亡することがあげられる(図1).どの病型においても突然死が死因に対して占める割合は大きく,とくに肥大型心筋症では死亡例の過半数が突然死と考えられる(図2).病型別の各種不整脈の頻度を図3に示したが,心筋症患者では不整脈の頻度はきわめて高く,また多彩である.突然死の原因としては,ほとんどが頻脈性不整脈(心室細動,心室頻拍)によると考えられており,したがって心筋症の臨床診療においては突然死の予防すなわち,頻脈性不整脈の予知と治療が重要な問題である.
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