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文献詳細

雑誌文献

medicina23巻10号

1986年10月発行

文献概要

今月の主題 感染症の動向と抗生物質 治療の進歩

アシクロビルの使い方

著者: 中澤眞平1

所属機関: 1国立埼玉病院・小児科

ページ範囲:P.1724 - P.1727

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 アシクロビル〔9-(2-hydroxyethoxymethyl)guanine〕(Acyclovir,ACV,ゾビラックスR)は,デオキシリボースの位置に非環状の側鎖をもったデオキシグアノシン類似体である(図).本薬剤は単純ヘルペスウイルス1型,2型(Herpes simplexvirus,HSV-1,2),水痘帯状庖疹ウイルス(Varicella zoster virus,VZV)に対して強い増殖抑制効果を示し,免疫不全状態のある患者に合併したこれらのウイルスの重症感染に有効な薬剤として最近注目されている1〜5)
 アシクロビル(以下ACVと略す)はHSV,VZV感染細胞のウイルス特異的チミジンキナーゼによりリン酸化(ACV-1リン酸)され,さらに感染細胞由来グアニル酸キナーゼなどの酵素により急速に3リン酸(ACV-3リン酸)まで酸化される.このACV-3リン酸はデオキシグアノシン3-リン酸と拮抗し,ウイルスDNAポリメラーゼによりウイルス核酸に取り込まれ,不完全な核酸となりウイルスの増殖を阻害する.ウイルス非感染細胞ではチミジンキナーゼの基質特異性が異なり,ACVはリン酸化されないため,正常細胞の核酸合成には影響をあたえない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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