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文献詳細

雑誌文献

medicina23巻11号

1986年11月発行

文献概要

今月の主題 意識障害へのアプローチ 意識障害のトピックス

視床と意識障害

著者: 秋口一郎1 富本秀和1 遠山育夫1 亀山正邦1

所属機関: 1京都大学医学部・神経内科

ページ範囲:P.1884 - P.1888

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 視床は延髄・橋・中脳網様体系と大脳皮質の前連合野・後連合野との中継核として,あるいはその他の大脳皮質や辺縁系との線維連絡を介して,意識維持機構のなかで重要な役割を占めている.このことは従来の臨床病理連関,神経生理・解剖などの成果により明らかにされてきたが,最近,組織化学や生化学的手法により神経伝達物質や神経調節物質についての視床内トポグラフィーや線維連絡が明らかにされつつある.また,臨床的には従来,視床内病変による意識障害は両側性のとくに内側病変において出現すると考えられてきた.しかし,最近のX線CTや磁気共鳴画像法MRIの成果によれば,視床内の一側性病変でも意識障害が出現しうること,内側病変が重要であり,とくに脳幹・中脳との接点である下内側部の視床病変が重要であること,優位側病変でより出現しやすいことが明らかにされている.本稿では,まず,視床の意識維持機構と関連した神経伝達物質の組織化学について紹介し,つぎに視床病変による意識障害について概説をする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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