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文献詳細

雑誌文献

medicina23巻2号

1986年02月発行

文献概要

今月の主題 止血機構とその異常 治療の進歩

濃縮血小板血漿製剤の保存期間の延長

著者: 神谷忠1

所属機関: 1名古屋大学医学部・第1内科

ページ範囲:P.280 - P.282

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 血小板輸注は血小板減少に伴う出血患者の止血には欠くことのできない治療法である.血友病の出血の場合には,高単位濃縮因子製剤が開発,製造されているので,いかなる場合でも止血管理を行うことができるが,血小板の場合,まだこれに代る止血法はない.最近,米国では冷凍保存血小板の臨床使用が行われるようになったが,保存手技の繁雑さや費用の問題でまだ一般的に普及するまでには至っていない.
 血小板の場合,赤血球に比べ保存による損傷を受けやすく長期間保存することが困難であること,通常の分離法では,止血に必要な血小板を確保するためには,多勢の血液型の適合した供血者を集めなければならないことなどから,フェレーシスによる血小板の分離が普及してきた.しかし,まだ現在では濃縮血小板血漿(platelet concentrate;PC)による輸注が主体である.PCの有効期限は1984年10月から採血後48時間(従来は6時間)と改定された.諸外国の状況は,米国,カナダでは20〜24℃,3〜5日,オーストラリア,フィンランドでは22℃,3日とされている.したがって,日本も欧米に近い保存期間に延長されたわけであるが,従来の感覚から採血後48時間の血小板が止血効果があるだろうかと疑問を持たれる方も少なくないと思うので,本項では保存条件の延長になった資料を中心にその理由を述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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