文献詳細
今月の主題 アルコール障害
アルコールの代謝をめぐって
文献概要
アルコール(エタノール)の代謝の特徴として,生体に摂取されたアルコールの大部分は肝で代謝されるが,その酸化を規定する制御機構が存在しないので,アルコールが過剰に摂取されると,肝でのアルコールの代謝が選択的に亢進し,そのため肝内の代謝系の大きな変動を伴うことである.通常,経口的に摂取されたアルコールは上部消化管で吸収され,その90〜98%は肝で代謝され,残りの2〜10%は尿や呼気中に排泄される.ヒトにおける代謝率は血中消失率としてみると,100〜200mg/kg/h程度であり,したがって,成人では1時間当たり10g前後,1日量として200g前後(ウイスキーで約500ml,日本酒として約1升)が代謝されることになる.
肝に摂取されたエタノールは,主として肝細胞上清分画中のアルコール脱水素酵素(ADH)による脱水素反応を受け,残りはそれ以外の経路(non-ADH pathway)でアセトアルデヒドとなり,これはさらにアルデヒド脱水素酵素(ALDH)による脱水素反応を受けて酢酸となり,アセチルCoAに合成されてTCA回路に入る(表,図).
肝に摂取されたエタノールは,主として肝細胞上清分画中のアルコール脱水素酵素(ADH)による脱水素反応を受け,残りはそれ以外の経路(non-ADH pathway)でアセトアルデヒドとなり,これはさらにアルデヒド脱水素酵素(ALDH)による脱水素反応を受けて酢酸となり,アセチルCoAに合成されてTCA回路に入る(表,図).
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