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文献詳細

雑誌文献

medicina23巻3号

1986年03月発行

文献概要

今月の主題 アルコール障害 アルコール依存症

アルコール依存症の疾病概念

著者: 小片基1

所属機関: 1札幌医科大学・衛生短期大学部

ページ範囲:P.416 - P.417

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 スウェーデンの内科医Huss M(1849)によってはじめてalcoholismus chronicusの用語とその概念が記載され4),この病態は精神的ならびに身体的障害であり,アルコールに対する依存性の強い慢性進行性疾患であるとされた.本邦では古くからalcoholismusに対してアルコール中毒の訳語が定着しているが,alcoholismusにはもともと中毒の意味は含まれていないのでかならずしも当をえた訳ではない.最近ようやくアルコール症という適訳が用いられるようになった.しかし,アルコール症そのものの適否やアルコール症に関連した用語上の問題点が日本アルコール医学会用語委員会によって指摘されている5)
 Hussの考え方はその後疾病モデル化への進展というより,むしろ社会モデル化への拡大という変遷をみせた.WHO(1977)3)はその事態を重くみて,alcoholismの用語に新たな概念規定を与えても徒労に終る,という認識に立ってalcoholismそのものを廃語にし,代わってalcohol-related disabilities(アルコール関連障害)の採用を提唱した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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