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文献詳細

雑誌文献

medicina23巻4号

1986年04月発行

今月の主題 消化器薬の使い方

肝疾患

肝硬変の治療薬の使い方

著者: 大和滋2 林茂樹1

所属機関: 1東京大学医学部・第1内科 2国立病院医療センター・消化器科

ページ範囲:P.608 - P.609

文献概要

 肝硬変は慢性肝疾患の終末像ではあるが,幅広い病像を有している.わが国の肝硬変の成因は,ウイルス性とアルコール性とで90%以上を占めており1),それぞれ特徴ある病態をもっているため,この点を考慮に入れた対策が必要となる.ウイルス性肝硬変では,病態が活動性か否かが問題となり,アルコール性肝硬変では,断酒できるかどうかが治療上重要なポイントとなる.また,肝機能の面では,その低下が軽度で症状を現さない状態(代償期)か,機能低下が著しく,腹水や黄疸,肝性脳症を生じた状態(非代償期)かを把握することが大切である.
 肝硬変の基本的病態は,その成因にかかわらず,肝実質細胞の変性・壊死とその後に起こる線維増生であり,治療の主眼はこの2点に向けられなければならない.肝実質細胞の変性・壊死の阻止を目的として,B型肝炎ウイルス関連のウイルス性肝疾患には,各種インターフェロン,Ara-A,-AMPによる抗ウイルス療法が導入され,慢性肝炎から肝硬変への進展防止に一定の効果があることが示されており,さらに本年1月より,B型肝炎ウイルスの母子間感染予防を主目的としてB型肝炎ワクチンが発売され,B型肝炎ウイルスによる慢性肝疾患の予防・治療については明るい未来がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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