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文献詳細

雑誌文献

medicina23巻4号

1986年04月発行

文献概要

感染症メモ

イミペネム—新しいクラスのβ-ラクタム抗生物質

著者: 袴田啓子1

所属機関: 1東京都済生会中央病院・内科

ページ範囲:P.700 - P.701

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 イミペネムは,カルバペネムと呼ばれる新しいクラスのβ-ラクタム抗生物質であり,5因環のS原子にC原子が置換され,環の中に2重結合をもった構造である(図1a).イミペネムは現在手に入るβ-ラクタム剤の中で,最もスペクトラムが広い点で注目される.
 イミペネムのin vitroでの有効性は,表に示すように,メチシリン耐性のブドウ球菌とコアグラーゼ陰性のブドウ球菌(in vivoでは腸球菌も)を除きグラム陽性球菌に対してPcGに相当するほど有効であり,グラム陰性桿菌に対しても,Pseudomonas maltoPhiliaとP.cePacinを除けば第3世代と同等かさらに有効,広域ペニシリンやアミノ配糖体よりも有効という結果が得られている.また,嫌気性菌に対しても,クリンダマイシンあるいはメトロニダゾールに相当する有効性をもっている.これだけ広域なスペクトラムをもつ最大の理由は,ほとんどの細菌から産生されるべータラクタマーゼに安定なことで,これはおそらく6位の側鎖につくトランス構造のためと考えられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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