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文献詳細

雑誌文献

medicina23巻5号

1986年05月発行

今月の主題 水電解質と酸塩基平衡

水電解質異常の臨床—アプローチと症候治療

高Ca血症

著者: 深瀬正晃1

所属機関: 1神戸大学医学部・第3内科

ページ範囲:P.822 - P.824

文献概要

原因
 臨床的に高Ca血症は致命的な疾患から無症状で生化学的異常にとどまるものまで幅広いスペクトルを持つ.同じ高Ca血症を来す代表的疾患のうちでも,癌に伴うもの(Cancer associated hypercalcemia,CAH)と原発性副甲状腺機能亢進症(Primary hyperparathyroidism,I°HPT)では異なる臨床経過をとり,CAHでは通常高Ca血症が次第に増悪するパターンをとり,I°HPTにしばしばみられる腎結石や全身掻痒感などを認めない.それはCAHでは高Ca尿症や高Ca血症の罹病期間が短いことによるものと思われる.
 高Ca血症とは血清Ca値が10.0〜10.2mg/dl以上を指すが,その臨床症状は血清Caの上昇につれ顕著となり,嘔気,嘔吐,多尿,便秘や嗜眠,錯乱,昏迷や昏睡状態が出現し,しばしば癌の末期症状と見誤られることもある.しかし緊急治療の対象となるのは一般に血清Ca値が14〜15mg/dlを超えた場合であり,CAHやビタミンD,ビタミンA中毒症やサルコイドーシス等の場合に多く,一方,I°HPTや家族性低Ca尿性高Ca血症(Familial hypocalciuric hypercalcemia,FHH)では稀である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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