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今月の主題 水電解質と酸塩基平衡 水電解質代謝調節ホルモンの話題
Atrial natriuretic peptide
著者: 雪村時人1
所属機関: 1大阪市立大学医学部・薬理学教室
ページ範囲:P.834 - P.835
文献購入ページに移動 哺乳動物の心房内に顆粒が存在することはおよそ30年ほど前から知られていたが,この顆粒が摂取食塩量の変化により増減することから,水電解質代謝の調節への関与が推測された.1981年にいたり,deBoldらはラット心房の粗抽出物中に強力な利尿作用をもつ物質が存在することを見出し1),その後の研究からこの物質は心房顆粒内に存在するペプチドであることが明らかになった.1984年にはKangawa and Matsuoにより,ヒト心房から3種のペプチドが分離・精製され,そのうち最も低分子量のアミノ酸配列を明らかにし,α型ヒト心房性Na利尿ポリペプチドα-human atrial natriuretic polypeptide=α-hANPと命名した(図1)2).ほぼ同時にラット心房のNa利尿ペプチドについても種々の長さのアミノ酸配列をもつものが報告された(図2).さらに遺伝子工学的手法を用いてその前駆体のmRNAのcDNAの構造解析から全アミノ酸配列が明らかにされた3).
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