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文献概要
今月の主題 水電解質と酸塩基平衡 臨床の話題
SIADH
著者: 斉藤寿一1
所属機関: 1自治医科大学医学部・内分泌代謝科
ページ範囲:P.866 - P.868
文献購入ページに移動ADH分泌不適合症候群(Syndrome of inappropriate secretion of ADH)とは,異所性ADH産生腫瘍または下垂体後葉からの原発的なADH分泌亢進に由来した,持続性の低Na血症を主徴とした病態である1).異所性ADH産生腫瘍としては肺小細胞癌が多く,また下垂体後葉よりのADH分泌亢進を来す原疾患としては,①中枢神経系疾患,②胸腔内疾患,③薬剤性の各種病態が知られている2).
低Na血症があると,正常の下垂体後葉機能が維持されていれば,ADHの分泌は抑制され,腎集合管における水再吸収は低下して水利尿が促進される.低Na血症があるにもかかわらず,ADH分泌が持続し,これが低Na血症の維持に主要な役割をはたしている病態が2つある.すなわち,①SIADH:以下に述べる本稿の主題であり,②有効循環血液量低下:脱水,浮腫あるいは腹水などを伴って容量受容系を介した,むしろ適切(appropriate)なADH分泌,の2つである.
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