icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina23巻6号

1986年06月発行

文献概要

今月の主題 体液・電解質補正の実際 輸液の基本的ルール

小児における維持輸液

著者: 藪田敬次郎1

所属機関: 1順天堂大学医学部・小児科

ページ範囲:P.962 - P.963

文献購入ページに移動
小児の維持輸液の定義と適応
 生理的に必要な水分,電解質を経口投与ができないために輸液によって投与する場合,これを維持輸液maintenance fiuid therapyという.小児とくに乳児では嘔吐をしやすいので,鼻腔ゾンデで必要水分,電解質,栄養などを長期間入れることはあまり好ましいことではない.嘔吐したものが気管,肺に入って肺炎を起こす危険もあるからである.また2歳から6歳頃までの幼児では意識障害がない限り,長時間ゾンデを入れておくことは嫌がって,抜いてしまうので不可能である.したがって,維持輸液の適応となる場合は,小児では成人に比べてはるかに多い1).経静脈栄養(高カロリー輸液)は広い意味では維持輸液の一種である.従来,輸液は水分電解質のみの注入を意味していたが,最近では身体発育に必要な栄養も静脈内注入が可能となり,生理的に必要な水分,電解質はもちろん,身体維持,発育に必要なエネルギー(栄養)も輸液により行われるようになったのである.
 小児の維持輸液の適応となる疾患をあげると,1)意識障害を伴う神経疾患.脳炎,髄膜炎,脳腫瘍,痙攣重積状態,急性脳症などで経口摂取が不可能な場合.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?