今月の主題 呼吸器と免疫・アレルギー
アレルギー性肺疾患 Ⅱ型アレルギーを基盤とする疾患
Goodpasture症候群
著者:
杉山温人1
猪熊茂子1
所属機関:
1東京都立駒込病院・アレルギー膠原病科
ページ範囲:P.1176 - P.1178
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1919年Goodpastureは,インフルエンザに罹患後,肺出血と急速に進行した糸球体腎炎で死亡した18歳男性の剖検例を報告した.その後,1958年にStantonとTangeはこのような肺出血に急速進行性糸球体腎炎を合併した症例をGoodpasture症候群(以下G症)と呼んだが,この両者の合併は多発性動脈炎や全身性エリテマトーデスなどでもみられるため,さらに明確な疾患概念の確立が望まれていた.1960年代になって,本症の発症機序に抗GBM(glomerular basement membrane)抗体が関与していることが証明されて以来,G症はII型アレルギーの代表的疾患として注目されている。
欧米ではG症は全腎生検中の2〜5%を占めるといわれ,男女比は2〜9:1と男性に多く,年齢は10歳代から70歳代にまで及ぶが,30歳代までの若年者に多いとされる.わが国では欧米に比べて報告例が少なく,また女性のほうに多いとする報告がみられる1).