icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina23巻7号

1986年07月発行

文献概要

今月の主題 呼吸器と免疫・アレルギー 免疫反応の関与が考えられる呼吸器疾患

肺癌

著者: 米田尚弘1 三上理一郎2 北村曠3

所属機関: 1奈良県立医科大学・第2内科 2国立相模原病院 3国立療養所西奈良病院・内科

ページ範囲:P.1208 - P.1210

文献購入ページに移動
 腫瘍に対する宿主の防御機構は,1963年,Burnetによって免疫監視機構(immunological sur-veillance)の概念が提唱されて以来,腫瘍特異的キラーT細胞(CTL)が主体と考えられてきた.肺癌に対するエフェクター細胞としても,当初,CTLが関与する特異的免疫機構が注目されたが,近年,広義の宿主抵抗性を担うnatural killer(NK)細胞,マクロファージなどの関与する非特異的免疫機構が重要視されている.図1に肺癌に対する免疫監視機構の概略を示す.前者に関するパラメーターとしては,腫瘍抽出抗原を用いた遅延型皮膚反応,マクロファージ遊走阻止試験(MIT),白血球粘着阻止試験(LAI),リンパ球腫瘍混合培養(MLTC)などがあり,肺癌の抗原性と,それに対する免疫応答の存在を示すとする報告は多い.後者のパラメーターとしては,遅延型皮膚反応,PHA,ConAに対する幼若化反応,マクロファージ機能やNK細胞活性などがあるが,病期の進行に伴い低下するという報告が多い.また最近,インターロイキン2により自己腫瘍細胞などに広い細胞障害性を有するLAK細胞が報告され,両機構の中間に位置づけられる.
 肺癌に対する免疫機構を経時的に観察すると,①発癌初期,②担癌期,③転移の各過程に応じて,上述のエフェクター機構が作動する.各過程の免疫能について,当教室の成績をまじえて概説したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら