今月の主題 呼吸器と免疫・アレルギー
免疫反応の関与が考えられる呼吸器疾患
肺癌
著者:
米田尚弘1
三上理一郎2
北村曠3
所属機関:
1奈良県立医科大学・第2内科
2国立相模原病院
3国立療養所西奈良病院・内科
ページ範囲:P.1208 - P.1210
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腫瘍に対する宿主の防御機構は,1963年,Burnetによって免疫監視機構(immunological sur-veillance)の概念が提唱されて以来,腫瘍特異的キラーT細胞(CTL)が主体と考えられてきた.肺癌に対するエフェクター細胞としても,当初,CTLが関与する特異的免疫機構が注目されたが,近年,広義の宿主抵抗性を担うnatural killer(NK)細胞,マクロファージなどの関与する非特異的免疫機構が重要視されている.図1に肺癌に対する免疫監視機構の概略を示す.前者に関するパラメーターとしては,腫瘍抽出抗原を用いた遅延型皮膚反応,マクロファージ遊走阻止試験(MIT),白血球粘着阻止試験(LAI),リンパ球腫瘍混合培養(MLTC)などがあり,肺癌の抗原性と,それに対する免疫応答の存在を示すとする報告は多い.後者のパラメーターとしては,遅延型皮膚反応,PHA,ConAに対する幼若化反応,マクロファージ機能やNK細胞活性などがあるが,病期の進行に伴い低下するという報告が多い.また最近,インターロイキン2により自己腫瘍細胞などに広い細胞障害性を有するLAK細胞が報告され,両機構の中間に位置づけられる.
肺癌に対する免疫機構を経時的に観察すると,①発癌初期,②担癌期,③転移の各過程に応じて,上述のエフェクター機構が作動する.各過程の免疫能について,当教室の成績をまじえて概説したい.