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講座 臨床ウイルス学・11
癌とレトロウイルス
著者: 西澤誠1 豊島久真男2
所属機関: 1東京大学医科学研究所・癌ウイルス研究部 2東京大学医科学研究所制癌研究部
ページ範囲:P.1446 - P.1451
文献購入ページに移動レトロウイルスのレトロとは「逆」を意味する言葉である.生物の遺伝情報はDNA→RNAの方向に伝わるというセントラルドグマに反し,増殖の過程にRNA→DNAへの逆転写を含むからである.レトロウイルスのうち細胞や個体を急性に効率よく癌化する能力をもつ強発癌性ウイルスをRNA腫瘍ウイルスとも言う.RNA腫瘍ウイルスはニワトリ,マウス,ラット,サルなどの実験動物で数十種類も見つかっているが,ニワトリのウイルスが最も盛んに研究され,いわゆる癌遺伝子の研究に最も貢献したと言ってよかろう.筆者らが主に扱ってきたのもニワトリのRNA腫瘍ウイルスであるので,これを中心に話しを進めたい.
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