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文献詳細

雑誌文献

medicina23巻8号

1986年08月発行

文献概要

講座 臨床ウイルス学・11

癌とレトロウイルス

著者: 西澤誠1 豊島久真男2

所属機関: 1東京大学医科学研究所・癌ウイルス研究部 2東京大学医科学研究所制癌研究部

ページ範囲:P.1446 - P.1451

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 今までの連載講座でかなりの重要なヒトの癌ウイルスが取り上げられているので,ここではレトロウイルスの研究から,ヒト癌の発癌機構の解析の鍵を握る癌遺伝子の研究が展開されて来た過程を中心に,現在までの進歩をまとめた.
 レトロウイルスのレトロとは「逆」を意味する言葉である.生物の遺伝情報はDNA→RNAの方向に伝わるというセントラルドグマに反し,増殖の過程にRNA→DNAへの逆転写を含むからである.レトロウイルスのうち細胞や個体を急性に効率よく癌化する能力をもつ強発癌性ウイルスをRNA腫瘍ウイルスとも言う.RNA腫瘍ウイルスはニワトリ,マウス,ラット,サルなどの実験動物で数十種類も見つかっているが,ニワトリのウイルスが最も盛んに研究され,いわゆる癌遺伝子の研究に最も貢献したと言ってよかろう.筆者らが主に扱ってきたのもニワトリのRNA腫瘍ウイルスであるので,これを中心に話しを進めたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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