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アゼプチン〔エーザイ〕 一般名:塩酸アゼラスチン—アレルギー治療剤
著者: 清川重人1 水島裕1
所属機関: 1聖マリアンナ医科大学・第1内科
ページ範囲:P.154 - P.156
文献購入ページに移動気管支喘息および鼻アレルギーでは,気管支粘膜や鼻粘膜の肥満細胞上のIgE抗体が抗原と結合し,ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質が遊離され,気道平滑筋の攣縮,気道粘液や鼻汁の分泌亢進,毛細血管透過性の亢進が起こり,喘息発作や鼻アレルギー症状が誘発されると考えられている.
アレルギー治療剤としての化学伝達物質抑制剤は,発作を抑える対症療法とは異なり,疾患発症機構に作用して発作を予防する薬剤として,これまでにインタール(DSCG),リザベン(トラニラスト),ザジデン(ケトチフェン)などが開発,臨床応用されている.アゼプチン(Azeptin,アゼラスチン)はエーザイが世界に先駆けて開発したフタラゾン誘導体であり,従来の薬剤がその作用点をSRS-A(slow reacting substance of anaphyla-xis)としてしかつかめなかったのに対し,アゼプチンはロイコトリエンを作るリポキシゲナーゼに作用しロイコトリエンの産生を抑制,さらにロイコトリエンの直接拮抗作用をも合わせもつ新しいタイプのアレルギー治療剤である.また,喘息に対してはアレルギー型の喘息はもちろんのこと,抗原抗体反応とは関係のない運動誘発喘息においても,化学伝達物質を介する気道狭窄を抑制し効果を発揮するという.
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