文献詳細
文献概要
増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方 Ⅱ 神経・筋疾患治療薬 自律神経障害
62.流涎と発汗障害の薬物治療
著者: 国本雅也1
所属機関: 1東京大学医学部・神経内科
ページ範囲:P.1895 - P.1895
文献購入ページに移動流涎
流涎は「りゅうぜん」と読み,よだれが多くてこぼれてしまうことである.これには唾液の分泌亢進と嚥下障害の2つの要因が考えられる.前者は,病的には嘔気のある場合にみられる.後者の原因による流挺は,神経疾患においてしばしば認められる.たとえば筋萎縮性側索硬化症(ALS),重症筋無力症(MG),パーキンソン病(PD),多発性脳梗塞などにおける嚥下障害である.これらはそれぞれ嚥下に関わる筋肉,神経筋接合部,神経機構が障害されることが原因で,これらを治療することが一義的ではある.しかしALSのように回復が望めない疾患,あるいはMGやPDのようにコントロールされるまでに時間がかかり,その間流涎の症状が持続する疾患に関しては,対症的に愁訴をとることが望まれる.
薬物治療としては,硫酸アトロピン(1.5mg,分3)を服用する.これは副交感神経節後線維末端をブロックして,唾液の分泌そのものを抑制するものである.副作用としては頻脈,口渇,排尿障害,瞳孔散大,粘膜乾燥などがあり,前立腺肥大,緑内障では禁忌である.薬物が使用できない場合は,唾液を頻回に吸引する必要がある.
流涎は「りゅうぜん」と読み,よだれが多くてこぼれてしまうことである.これには唾液の分泌亢進と嚥下障害の2つの要因が考えられる.前者は,病的には嘔気のある場合にみられる.後者の原因による流挺は,神経疾患においてしばしば認められる.たとえば筋萎縮性側索硬化症(ALS),重症筋無力症(MG),パーキンソン病(PD),多発性脳梗塞などにおける嚥下障害である.これらはそれぞれ嚥下に関わる筋肉,神経筋接合部,神経機構が障害されることが原因で,これらを治療することが一義的ではある.しかしALSのように回復が望めない疾患,あるいはMGやPDのようにコントロールされるまでに時間がかかり,その間流涎の症状が持続する疾患に関しては,対症的に愁訴をとることが望まれる.
薬物治療としては,硫酸アトロピン(1.5mg,分3)を服用する.これは副交感神経節後線維末端をブロックして,唾液の分泌そのものを抑制するものである.副作用としては頻脈,口渇,排尿障害,瞳孔散大,粘膜乾燥などがあり,前立腺肥大,緑内障では禁忌である.薬物が使用できない場合は,唾液を頻回に吸引する必要がある.
掲載誌情報