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文献詳細

雑誌文献

medicina24巻10号

1987年09月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方 Ⅳ 循環器疾患治療薬 心筋疾患

113.拡張型心筋症の薬物治療

著者: 佐藤廣1

所属機関: 1東京大学医学部・第2内科

ページ範囲:P.2026 - P.2027

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 拡張型心筋症は,心拡大と心不全を伴う症候群である.主に左室収縮機能が障害され,左室は拡張終期容積,収縮終期容積ともに増加している.また,左室muscle stiffnessは増大しているが,左室chamberstiffnessはむしろ低下している.したがって,低い左室充満圧にて拡張終期容積が十分に大きくなり,Frank-Starling機序が働き,1回拍出量および心拍出量は保たれている.したがって,代償期には,心機能が低下していても,心不全症状が軽微である.しかし,拡張型心筋症ではafterload mismatchが生じており,運動,過剰の水分摂取,血圧の上昇などをきっかけにして,前負荷予備能の限界を越え,左室収縮力がさらに低下して心拍出量が低下し,また左室充満圧が上昇して肺うっ血が生じる.
 拡張型心筋症は現在その原因が解明されておらず,特別な治療法は未だ確立されていない.拡張型心筋症で問題になるのは,心不全,不整脈および左室壁運動低下に伴う左室壁在血栓である.ここでは,心不全に対する治療を中心に解説し,最後に壁在血栓に対する治療にふれる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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