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文献詳細

雑誌文献

medicina24巻10号

1987年09月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方 Ⅴ 消化器疾患治療薬 肝疾患

138.アルコール性肝疾患の薬物治療

著者: 石井裕正1 丸山勝也2 横山顕3

所属機関: 1慶応義塾大学医学部・内科 2国立療養所久里浜病院・臨床研究 3国立療養所久里浜病院・内科

ページ範囲:P.2090 - P.2091

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 わが国では戦後,国民生活の向上および欧米の生活習慣の導入などに伴い,酒が容易に手に入るようになり,アルコールの消費量は著明に増加してきた.これと同時に,飲酒人口も増加し,その数は6,400万人(男性の91%,女性の61%)に達した.さらにこのうち1日あたり日本酒換算で5.4合以上を摂取する,いわゆる大量飲酒者(問題飲酒者)は少なく見積もっても220万人に及ぶと報告されている.国立療養所久里浜病院に入院したアルコール依存症者300例の検討では,80%が肝障害を合併していることより,大酒家にみられる肝障害も多いと思われ,アルコール性肝障害に対する治療の重要性が示唆される.
 治療に先立ち,アルコール性肝障害の特徴を知っておくことは大切である.すなわち,アルコール性肝疾患では,発症に個人差があること,末期以外は禁酒により比較的容易に障害の改善がみられること,他の疾患と異なり,自らアルコールという疾病の原因物質を好んで摂り込むこと,などの特徴がみられる.したがって,アルコール性肝疾患の治療の基本は断酒の継続であり,本稿で述べる薬物療法はあくまで補助的療法でしかないことを念頭において治療すべきである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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