増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方
Ⅸ 免疫・アレルギー・膠原病治療薬 アレルギー疾患
216.アレルギー性鼻炎の薬物治療
著者:
西端慎一1
信太隆夫2
所属機関:
1国立相模原病院・耳鼻科
2国立相模原病院リウマチ・アレルギー臨床研究部
ページ範囲:P.2284 - P.2285
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アレルギー性鼻炎は,鼻粘膜に起こるI型(即時型)アレルギー反応の結果,遊離される各種の化学伝達物質の作用により発症する.その結果現れる症状は,①鼻粘膜の知覚神経終末が刺激されて起こるくしゃみと,②さらにその刺激が分泌中枢,副交感神経の反射経路を介して分泌腺に作用して生じる鼻汁分泌の亢進,③および血管壁のレセプターヘの直接作用による循環障害のために起こる鼻閉である.したがって,アレルギー性鼻炎の治療の目的は,上記の症状発現のメカニズムをいずれかの場所で断ち切ることにある.現在行われているアレルギー性鼻炎の治療は,I型アレルギー反応自体を抑制すると考えられる免疫療法(特異的減感作療法)と,化学伝達物質の遊離以降に作用する対症療法(薬物療法)がその双壁を成しており,その他に手術療法,東洋医学的療法が行われている.ここでは主に対症療法について,現在よく使用される薬剤を中心に述べる.
現在,アレルギー性鼻炎の治療に用いられる薬剤には,抗アレルギー剤,ステロイド剤,抗ヒスタミン剤,および漢方薬がある.このうち抗アレルギー剤は内服と局所の両方の薬剤があり,ステロイド剤は主に局所療法剤として使用されることが多い.