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文献詳細

雑誌文献

medicina24巻11号

1987年10月発行

文献概要

今月の主題 虚血性心疾患の最前線 狭心症のconventional treatment

高脂血症の治療法

著者: 加藤泰一1

所属機関: 1東京大学医学部・第1内科

ページ範囲:P.2350 - P.2351

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 疫学的研究から,高コレステロール(Ch)血症は有意に虚血性心疾患の発生率を増加させることが明らかにされている1).家族性高Ch血症とくにホモ接合体患者では高度の高Ch血症がみられ,多くの症例が30歳までに虚血性心疾患で死亡することが知られている.さらに,高Ch食を動物に与え実験的高Ch血症を作ると,ヒトに類似した動脈硬化性病変の起こることが知られている.これらの事実より,高Ch血症が冠動脈硬化症の発生および進展に重要な役割を演じていることが考えられている.
 高Ch血症と虚血性心疾患との間に因果関係があるとすれば,高Ch血症を治療することにより虚血性心疾患の発生および進展を防ぐことが当然考えられる.Lipid Research Clinics2)は,高Ch血症患者3,806名を対象に,コレスチラミンによる治療を7.4年間行い,対照群に比べ血清総Ch値において8.5%,心筋梗塞死および非致死性心筋梗塞発生率において各々24%,19%の減少を認め,高Ch血症の治療が虚血性心疾患を予防することを明らかにした.すでに発症してしまった虚血性心疾患については,高Ch血症の治療はその進展の防止と症状の改善を期待しているが,動脈硬化の退縮が高Ch血症の治療により実際に生じ得るかは,現在まだ明確な解答が得られていない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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