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文献概要
今月の主題 脳卒中up-to-date 脳卒中の病態生理
脳循環と脳代謝に関するトピックス
著者: 田中淳二1 小暮久也1
所属機関: 1東北大学医学部・神経内科
ページ範囲:P.2504 - P.2506
文献購入ページに移動血栓や塞栓による脳の局所的な虚血病巣は常に側副血行を伴って発生するが,この側副血行路および病巣内では,微小循環系に特有な種々の血流障害が起こり易い.
すなわち、側副血行はそれぞれ樹枝状に形成されている動脈枝の末梢に形成されている動脈―動脈吻合を通って,閉塞した動脈枝の流域に逆流して来る流れである.そして病巣内でやがて,より低圧の領域つまり毛細血管網を経て動脈側へと順行する.この細くて曲りくねっていて,かつ長い経路を通過して来ることによって,この血流の血管内圧は著しく低い.しかも,この血流は動脈でありながら拍動をしていない.このような低圧恒常流は毛細血管静脈側から小中静脈の中では普通に見られることで,血漿は層流現象を,そして赤血球は軸集中と呼ばれる現象を起こす(図1).
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