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文献詳細

雑誌文献

medicina25巻10号

1988年09月発行

文献概要

増刊号 診断基準とその使い方 III.消化管

7.Zollinger-Ellison症候群

著者: 岸本真也1

所属機関: 1広島大学医学部・第1内科

ページ範囲:P.1796 - P.1797

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■概念と疫学
 Zollinger-Ellison症候群は1954年の米国外科学会に両博士が膵島性腫瘍,難治性再発性空腸潰瘍,異常な胃酸分泌亢進のある女性の2症例を報告したのが最初1)であり,翌年にEiseman2)が症例を追加してその概念を報告している.本症候群の本体は腫瘍から分泌されるガストリンであり,本症候群を修飾する症状,病理,病態生理はすべてこのペプタイドホルモンに起因する.この腫瘍は非B島性細胞腫であり,膵に高頻度に発生し,尾部に最も多く,ついで体部である3).しかし,十二指腸,胃にも発生し,さらには思いがけない臓器にも発生する.腫瘍の50%は多発性で,2/3は悪性である.腫瘍の良悪性の判定は腫瘍の生物学的態度や病理組織像によってもなされるが,大部分の例では他臓器への転移の有無によって判定されている4).腫瘍の転移は所属リンパ節,肝臓が多い.腫瘍の産生するホルモンはガストリンのみの単一ホルモン産生腫瘍の例は少なく,複数のホルモンを産生する多ホルモン産生腫瘍の例が多い5,6).しかし,血中において証明されるホルモンはガストリンを除いて多くなく,したがって本症候群の臨床像は先述したように,ガストリンの作用に基づくものがほとんどである.
 1988年4月までの筆者の集計では本邦における本症候群の報告数は185例ある.筆者は5年毎に本症候群の集計を「医学中央雑誌」を中心に行っているが,その正確な症例数は把握していない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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